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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第106号 ’01−09−14★
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中国問題
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●かつてメイド・イン・ジャパンが
世界市場を席巻して勢い留まるところを知らなかった時、欧米人たちは
「この世に日本人さえいなければ、、」とタメ息をつきました。 日本
人の存在自体が問題、というわけで<ジャパン・プロブレム>。
時は移り、舞台は回って、今やその日本人が追いまくられる番。 7月
末2夜連続、NHK<クローズアップ現代>「メイド・イン・チャイナ
の実力」が、我々の<中国問題>を詳しく教えてくれました。
*
冒頭にいわく、「圧倒的な価格競争力に品質向上、世界に通用する実力。
その製品が輸入されて我が国に価格破壊をもたらし、デフレ要因にすら
なっている。 日本の製造業を脅かす存在、、」と。 おお、いよいよ!
年金頼みの隠居には、価格破壊が<セーフティ・ネット>。
申し訳ないが今や非国民的、メイド・イン・チャイナ志向。
解説の関満博一橋大学教授は、「予想の倍の速さ。3ヶ月で事情一変」、
その力の源は<人材>だと言う。 市場経済化してから生まれた若者が
激しい共存の中で得た職、熱中の度が他の途上国とは大違い、と。
女子組立て工の<月収>が彼女の父親の<年収>相当。 3年間働いて
半分を持ち帰り、故郷で店を開く。 それが回転するので、平均年齢が
上がらずに済む。 供給は無限、、 まず巨大な人口が脅威の元。
* *
品質意識が急速に高まり始めたのは95年頃から。 日本の検査基準を
用い、「日本に通用すれば世界に通用する」の認識で品質確保を図った
由。 名著「ジャパニーズ・マインド」のR.クリストファーは第2弾
を「日本で勝てれば世界で勝てる」としましたが、それと同様の発想。
「品質こそが企業の命!」、かつての私と同じ台詞をリーダーが叫んで
いる場面にはオソレイリマシタ。 整理、整頓、清掃、躾、もう一つは
何だっけ、の<5S>がどこにも貼ってある。 まるで30年前の日本。
懐かしいというかマイッタナというか、、 あの勢いじゃ<オイツケ>
は時間の問題。 オイコセされないにはどうしたら?と焦りを感じます。
タガの緩んだ国になり果てた今、それはもう恐怖に近い、、
というのが暫く前に欧米人が日本人に対して抱いた感情。 歴史は繰り
返して我々にはチャイニーズ・プロブレム。 でも、彼らがいなければ、、
なんて考えるのは無駄です。 我々自身も存在し続けたのだから、、、
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●彼らの成長を助けたのは
もちろん日本だけじゃないが、映された例は<沈さん>。 彼は上海に
進出した日本のメガネ枠メーカーで7年間働き、技術を修得し、17人
の仲間を率いて独立。 チタンフレームに特化して成功したという。
チタンは加工が難しく、我が福井県鯖江市は2年半を専用技術の開発に
費やして世界的産地となった。 つまり日本特産的商品だったわけだが、
安い労働力を求めて中国へ進出したのがマチガイ、、?
特許は無かったので、すぐコピーされました。 フレーム設計のソフト
は大学教授に作らせて日本製の
1/4、チタン用特殊ロウ材は軍事機関でリバース・エンジニアリング、製造機械も中国製なら日本製の僅か
1/6、、
かつて日本人も欧米人相手にそんなことをして嫌われたものですが、今
はハイテクの普及でそのスピードは驚異的、そして中国的労務費でその
コストは<脅威>的。 インパクトは<日本問題>の比ではありません。
*
日本国内のメガネ産業は極端な分業方式。 しかし進出する時は<一式
まるごと>即ち<見れば分かる方式>だから、修得する気ならしやすい。
加えて中国は、途上国中唯一<機械まで作れる国>。 原爆すら作る国。
軍も大学も、企業と取り引きするのがアタリマエ。 徹底した産学協同
ぶりは、シバリやシガラミだらけの我が国とは大違いです。 「日本の
生き残る道は限りない開発のみ、、」と関教授はおっしゃるが、
それは容易でない。 次はチタン・マグネシウム、と我が業界も差別化
の方向を定めているが、今度こそ特許武装、固めて行けるかな? いや
固めても、相手は知的所有権に無神経な国柄、どうなることやら?
<技術的優位>のはかなさ、かくのごとし。
* *
なら、デザインで勝負? たしかに、センスの点は彼らイマイチですが、
日本からプロを招いて若手デザイナーを育てている家電メーカーの例も
紹介されたように、これまた時間の問題。 すでに彼ら、
「ドイツの品質、中国の価格、日本のサービス」の認識。 品質はもう
日本の水準を達成したつもりらしい。 家電品の世界シェアで中国製が、
TVの29%、エアコンの32%、冷蔵庫の16%、洗濯機の29%を
占めている現実がその証明かも。 思い起こされるのは、往年、
家電の王者だった松下サンの圧倒的国内シェアも各品目約30%だった
こと。 そのモノサシで測れば中国製家電、世界を制覇したも同然です。
今や<グローバル化の中の生産センター>と称し、アメリカ、フランス、
日本など100カ国、200社から生産の委託を受けている企業もある。
OEMに徹し、自前の販売網無しで全世界に売ると共に、各国から市場
情報、経営情報、技術情報を獲得する。 留学帰りの若い男女が窓口を
引き受け、何と30もの言語に対応している由。 さて、あなたの会社、
何カ国語対応でしたかな?
映し出されたバイヤーが何とマレーシアの人。 おや、つい先頃までは
<製造拠点>国だったのに、もう買う側かね? フィリピンやインド
も、とは! やはり「中国に作らせるのがあなた方の得、、」らしい。
* * *
その勢い、「エアコンに取り組み、3ヶ月で工場を立ち上げた」くらい。
かつての松下サンだって、そんな速くはなかった。 それが可能なのは、
珠江デルタに部品メーカーが集中し、「1時間圏内で8〜9割の部品が
集まる」環境だから。 そこは「埃と欲望が渦巻く戦場」、と関教授。
<戦場>から生じる毒気が、いずれ我が国に酸性雨を降らせ、
黒潮を汚すだろう。 それもまた別の大いなる恐怖です。
安価で優秀な若い労働力が無限に得られるので、<労働集約型>が可能。
従って、設備投資が少なくて済み、ラインの組み替えも容易。 速いの
は立ち上げだけではないのだ。
電子レンジ組立ラインの女子作業者たち、取り憑かれたような目つきや
手捌きで、文化革命当時の紅衛兵さながらでした。 我が国の若者には
マネも出来まい、出来ても月1万8千円、3交代、に耐えるわけが無い。
アチラへ出した仕事はもう帰っては来ない。 第94号<鳥取三洋電機
屋台方式騒ぎのルポ>がダメなのは、当事者たちがその流れを理解せぬ
まま終わっていたから。 たとえ人情として「分かりたくない」にせよ。
* * * *
当初は日本の支援を得て国有企業としてスタート。 民営化の後、競争
原理で急成長、、 という解説で中国レポートは総括されましたが、
その<競争>、実は日本国内での競争が場所をアチラに変えただけ、と
いう面もあるのです。 その成果がコチラに押し寄せ、生き残っていた
者を滅ぼす、、 たとえば、
先頃の輸入タオル問題。 我が業界を悩ますアチラの業者とは、コチラ
で負けたか、コチラを見切ったかで早々と出て行った人々。 「今さら
悲鳴挙げるなんて、オクレテんだよ」、コチラへの同情は皆無だという。
日本で作るんじゃ商売にならない、なら廃業か海外移転しか無い。 で
タオル産地、業者数は毎年半減のペース。 それをセーフ・ガードで?
ナンセンス! 必要なのは<国際市場の中での生き残り戦略>。 当節、
それも決して<長期>ではあり得ないでしょうが、、
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●要するにこれは勝てないケンカ
です。 給与ベースが桁違い、働き方のキビシサも段違い、加えて手段
選ばずの何でもあり。 贅沢に慣れきった日本人には、そのレベルまで
降りて対等に勝負するエネルギー、もう無い。 だから、、
負けですね。 茶髪、金?髪の若者がパラパラなどにウツツを抜かして
許されているこの国はオシマイです。 知識産業の時代、どんなに勉強
しても足りないくらいなのに、、 じゃ、たとえば、
修学旅行を<珠江デルタで工場見学>とするのはどうかな? <祖国の
同胞>の発展ぶりを見せるのは日教組としても鼻が高かろうし、激烈な
現実を見れば若い頭脳もいくらかは刺激を受けるだろうから。
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しかし未だ、中国に負けることを望まない人も少なくないはず。 負け
ないためにはすぐ行動に移らねばなるまい。 で、あなたの周辺、
何が始まっていますか? 先月と今月では何がどう変わりましたか?
じゃ、昨年と今年とでは? もちろん、変わることがすべてではない
けれど、競争相手がどんどん変わって来ていますからね。
当面そのまま、という判断もあって当然ですが、それはあくまでも当面。
いずれ<変化>は必然です。 じゃ、どう変える? ヒントは?
たとえば我々が欧米人をその目に遭わせた時、彼らがどうメイド・イン・
ジャパン攻勢を凌いだか、、 を参考にするのはいかが?
で、手元の何冊か、パラパラ(踊りじゃありませんぞ)頁を繰って、
* *
見付けたのはお馴染み、トム・ピーターズ。 「経営創造」の
p.38、<14 そして勝者は>に、「ビジネスの変容を促す重要なアイデアは
六つ、、 それには順位がある」と。
その第6位が<TQM:総合的品質管理>。 品質が良いことは基本的
に必要だが、今は良い品質くらい誰でも作る。 もちろんTQMは大切
だが、それは良い製品を生む<手段>に過ぎない、、 と。
品質を<目的>にしてしまう困った日本人が未だいるが、中国は事実上、
それを<目的>とせざるを得ない段階に在る。 この<差>を利用して
<違い>を生むべきでしょうな。
第5位は<リエンジニアリング>。 これも<必要だが、主要目標では
ない>。 だが、この本の94年現在、アメリカでは熱狂的で、しかも
<組織内部向け>で<見せかけだけ>という誤ったやり方のが多い、と。
我が国では依然<リストラ>の域を脱しないし、それも首切りの手段と
して、のお粗末。 仕事の仕方を改革するという本来の目的が、<外部
との協働>を含めて<実質的に>達成される必要があるのに、、
<分業作業を一式にまとめ、海外へ移転>したメガネ枠メーカーの例は、
せっかくの<リエンジ成果>をそのまま進呈した形でした。 が、彼ら
は暫くそこに留まるはず。 こちらはその先の改革にすぐにもかかれる。
この時間差を有利に用いれば、優位が保てるだろう。
* * *
第4位<知識の活用>では、長年の蓄積と裾野の広がりを有する我が方
が未だ暫くは優位、、 と思うのは思い上がりかも。 産学協同や軍事
技術の応用、海外留学帰国者の優遇など、むしろこちらが学ぶべき点が
多い。 謙虚に、そしてねばり強く改善を図らねば、、、
第3位<企業の自己解体>となると、ほとんど<守旧派>ばかりの我が
リーダーたち、許す度量もあるまい、まして
encourage はしない、、ワカランジンたちには、早く隠居してもらわないと、、、
第2位<バーチャル・オーガニゼーション>。 「今や成功をもたらす
のは、非永続性と即興性なのだ」と著者は結んでいるが、古いタイプの
リーダーには想像もつくまい。 日本的マジメさが最も妨げになる部分
かも知れない。 逆に言えば、そこを早くクリアした企業が勝つ。
そして第1位が<権限の付与>。 おお、何とオーソドックス! 組織
の機能を良くすることは大切、前記各項はそのためでもあるが、現実の
業務に当たる人間が万全に能力を発揮するようになっていなければ、、
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どうやら結局、<マネジメントの基本>に戻ることになるようですね。
しかし、<基本>は意外に知られていない。 知っていても、しない、
出来ない。 それが出来ていれば、あとは臨機応変、応用自在なのに。
出来ない、しない、はついアタリマエだと思うから。 そう思うのは
ご自由だが、たいていは我流です。 <基本的な考え方>でチェック
してみると、思いがけないカタヨリやヌケ・モレが見付かるかも。
そして<基本的な考え方>なら
Rational Process に決まっています。やや困難と思われる上記第1位〜3位も、手順に従って冷静に考えを
進めれば、どれ程のものではありません。
以上トータルして、
Rational Process は<中国問題>克服の技法!■竹島元一■
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